本屋好きの日常

BOOKSHOP LOVER=本屋好きの日記

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ドミニク・チェン×内沼晋太郎/ 「オープンソースと本の未来」 #本屋

フリーカルチャーをつくるためのガイドブッククリエイティブ・コモンズによる創造の循環ドミニク・チェン×内沼晋太郎/ 「オープンソースと本の未来」

タイトル的に行かなきゃいけないでしょう、ということで参加しました。クリエイティブコモンズライセンス(以下、CC)の出張イベントのようです。2回目がファブラボで今回は3回目。ファブラボは気になるので後でチェックです。

さて、本対談は「フリーカルチャーをつくるためのガイドブック」の刊行記念として行われたもので、趣旨は、CCでありオープン出版です。本書が店頭売りと購入者にはCCに則ってPDFを無償配布するというオープン出版を行ったので、「そもそもクリエイティブコモンズライセンス=CCとは何なのか」「どんな狙いでオープン出版にしたのか」「CCを使うことに何の意味があるのか」「CC使って何か面白いことできないか」といった話が展開されていきます。

対談のまとめに入る前に



以上のように本対談ではCCとオープン出版がメインテーマとされていますが、ややこしいので以下では「CCを利用したオープン出版」=「オープン出版」というように書いていきます。

CCとは



まず、対談は大前提としてのCCについて説明から入ります。

CCとはものを作ってる人がどう使って欲しいかを提示したツールです。63ヶ国くらいで使われてるもので、本以外でも画像や映像、録音データなどに使われます。著作権ありと著作権放棄の間を埋める概念で、6段階の権利があり分かりやすいマークで表示されます。詳しくは以下をご覧ください。

クリエイティブコモンズライセンス

本書におけるオープン出版とは



そんなCCを利用して本書は、購入者にはネット上にあるPDFデータへのアクセス権が与えられ、アクセス後は商用利用でなければ自由にコピペ可能という販売形態をとります。

購入後、袋とじ内のパスワードキーを特設サイトに入力すればPDFをダウンロードでき、その後は条件付きだけど配布OKという訳です。もちろんCCは6段階ありますし、サイトに直接表示したりなど多くのやり方があるでしょうが、本文では本書のやり方を「オープン出版」と呼びます。

著者にとってのオープン出版



オープン出版は著者にとってと出版社にとってで意味が違います。

著者にとって重要なのは話題性と手軽さでしょう。ロングテール理論でいう頭の3%くらいの人たち以外。97%の無名の人たちにとってはフリーで公開することは、世に知られるのはむしろ良いことなのです。お金を取ろうにもそもそも知られなければ仕方がないのです。

出版社にとってのオープン出版



出版社にとって大事なのはもたろん売上です。一見、売上を減らしそうなこのオープン出版に対して出版社はどう考えるのか。

オライリーという出版社では、同じ売上が見込める2冊の本をCCライセンス付きと無しで販売するとい実験を行ったそうです。その結果、売上は同じだったけど、検索結果ではCCライセンス付きの方が圧倒的に評価されていたのです。このことは中長期的に考えると、オープン出版が売上に寄与することを示しており、出版社的にも嬉しいことだといえるでしょう。

オープンで配布した結果、検索で特設サイトやAmazonよりもコピペしたサイトがトップに出てくる可能性があるけど、それはどう考えるの?



内沼さんからこんな質問が飛び出ました。

本書では特設サイトのページでキーを入力するという手間があります。これがコピペサイトではポチッとした瞬間に見れる。そうなったら誰もがそのコピペサイトを見てしまって売上に結びつかないのでは?それなのに何でワンクッションの手間をいれたの?という質問です。

これに対して、著者はタブレットPCがある今は、逆にお手軽過ぎて購入まで至らなかなってしまうと答えました。あえて手間を入れることで、手に入れたときの所有欲を満足させられると考えているのです。

フリーカルチャーをつくるためのガイドブック

具体的にどうやって企画を通したのか?



そんな質問が参加者から上がりました。

これは、業界的に書店や出版社に嫌われてはマズイ!というクリティカルな問題を指摘しており、お二人は答えにくそうでしたが、以下のように答えました。

PDFと紙書籍はイコールではなく、紙書籍を売ることとPDFでタダで配られることもイコールではない。モノとしての本はPDFデータとは明らかに違うものであり、少なくとも現時点の読書文化では紙書籍>PDFデータである。だからこそ、PDFはコピペしていって欲しい。それによって知名度が上がり紙書籍の売上も上がるのだ(実際、本書は重版もした)。

モノとしての価値を問われる紙書籍



これは僕も考えていることで(おそらく業界の人はもっと前から考えているでしょうが)、デジタルデータが出てくればくるほど、本はモノとしての値段になってくるのです。中身の値段とモノとしての値段の比率が変わってくるのです。

今までは本の値段が漠然としていたのですが、中身だけを売ることができるようになったためにモノとしての価値がクローズアップされるようになると。そのため、モノとしての本にどれだけの価値を付加できるか。例えば、見た目の良さや肌触り、匂いなどが紙書籍を売るときの大きな要素になってくると思うのです。例として、アメリカのアナログレコードの市場を挙げていましたが、同じようなことが遠からず本の世界でも起きると思います。

イベントも本



ところで、内沼さんはイベントも本みたいなものと思ってるそうです。ゲストの選定、ブッキングなどなど編集そのまんまじゃないかと。そもそも、人間が集まって知識をシェアするのが本の起源であり、そう考えるとトークショーは本そのものではないかというように仰ってました。
というのも、純粋な本屋としてやっていくのは正直厳しいだろうという考えがあり、物販以外でも稼ぐ必要があるとのこと。

これは「場」を作ることの大事さを言ってるんですね。大阪のスタンダードブックストアにも共通したものがあると思います。

出版における"速さ"



話は変わって、日本の出版が世界的に見ると異例に速いことが話題にのぼります。

新書なんてトピックが起きてから3ヶ月もしないで出版される。アメリカでは企画から出版まで、少なくとも1年はかけることを考えるとこの速さは異例なんだそうです(そんな速さで出版されるものは雑誌で、書籍=1年以上、雑誌=3ヶ月とか速く出すもの。と明確な住み分けがあるそうです)。
特に今の新書は内容も薄く、装丁もシンプルで使い回しとなっています。そう考えると、メルマガのような媒体の方が新書レベルの内容は合っているのかもしれないのです。津田大介さんのメルマガなど実例はあるわけですし。

読者と著者の関係がフラットに



さらに、メルマガなどデジタルデータのテキストでは、昔のような著者を信奉するようなことは起きず、とりあえず内容をネタにツイッターで盛り上がるといった現象が起きています。インターネットによって著者の権威は同じ目線まで降りてきたのです。だからこそ、情報の真偽や妥当性に関してツイッターで盛り上がれるのです。

電子書籍を語るときの括り



電子書籍を語るときに無意識に比較するのが紙とデジタルです。ところが、内沼さんはこの括りは単純すぎであると言います。
本は、小説と実用書はなどジャンルによって全く目的が違います。
例えば、図書館業界では、データベース化が進んでいますが、これ学術書を念頭に置いた考え方で小説のことは頭にありません。
このように小説と学術書とか本のジャンルごとに具体的に考えていかなければいけないのではと言っていました。

本の電子化の価値



本が電子化することの価値はインターネットとつながる事です。今はデジタルにすることの空間的メリットが強調されていますが、ネットにつながる事が電子化の本質であると言います。
今は本→ネットはあるけど、ネット→本が少ないのです。権利の部分をクリアーしてネット側から本にアクセスできるようにすること。それができれば、ネットの海に本が溶け、新しい何かぎ生まれるのではないか。ということです。
それをやろうとしたのがグーグルブックスで、プロジェクトによりGoogleNグラムビューワーができました。
これはアーカイブした1千万冊の本の中の単語を検索できるもので、文化の定量分析ができるようになるかもという期待が持てるサービスです。

本で遊べ



せっかくCCを付けたので、本を使ってどうにか遊べないかという話もありました。音楽におけるリミックスのように、著者へのリスペクトを示しながら改変して楽しむのです。

今は本で遊ぶと言っても、小説の舞台に行ってみたり、書評を書いてみたりするだけですが、このように本そのものを使って遊べたら面白いことが起きるかもしれません。もちろん、マジメにやろうとした場合、事実関係がわからないとリスクが高く何もできなくなるかもしれませんのど、あくまで気軽に遊ぶということがならできるかもしれません。

音楽のアレンジはモテるけど、本のアレンジはモテるか?



参加者からの質問です。音楽のリミックスはモテるから流行ってるけれど、本のリミックスは果たしてどうか?
これは面白い視点で、内沼さんも読書や本を書くことでモテる文化を作りたいと言ってましたが、今は…ということでした。
実は、内沼さんと同じこと思っていまして、それでブログ記事も書いているのですが、本をもっとオシャレなものカッコいいものカワイイものにできたら…本好きとしては楽しいことになると思うのです。

「本」は「真面目な人が読むもの」から「お洒落な人が読むもの」に

オープン出版のノウハウ蓄積が必要



この日、著者のドミニク・チェンさんが何度も言っていたことです(内沼さんの発言が多かったのでここまで書けませんでしたが(笑)
たとえば、社内や取次にどう話を通すか?売上把握の方法は?オープンだからこその広告やマーケティングができないか?などなど。
これだけ情報がオープンになってきている中で、著者のこの考え方は大事だと思います。ロングテールにいる作家がもっと報われるためにも、こういった新しい試みを実践するためのノウハウが必要なのです。

本がネットの海に溶ける



とまあ、そんな感じてした。その他、本歌取りの話やツイッターbotの話などありましたが、それは割愛しました。

「本がネットの海に溶ける」これが今回の名言でしょう。技術の進歩によって今より自炊が簡単になったら、電子書籍の普及が進んだら、家庭でジンが簡単に作れたら…そのときにこそ本の世界は次の段階に行くのかもしれません。そして、そのときは案外早く来ると思うのです。

戦略的にオープンであること。今、パプーで作ってる本屋探訪の電子書籍においても参考になる話でした。

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